こんにちは。コッジです。

未経験の人
・生産技術はキツイって聞くけど、どんなことがキツイの?
・生産技術の仕事ってよくわからないけど、どんなスキルが身につくの?
こんな人に向けた記事です。そして、転職前の自分に向けた記事となります。
生産技術に転職して、5年以上働いている僕が、入社する前に知っておいた方が良いと思うことを解説していきます。
未経験の人だと、求人票の仕事内容を見ただけではイメージが湧きづらいと思います。

求人票に書いてあることだけでは、わからない内容が多いです。
聞きなれない言葉も書いてあったりするので難しく感じます。
この記事では、生産技術未経験の人でも、どんな仕事をするのか、キツイ理由と身につくスキルについてイメージが湧くように、専門用語などは使わず解説していきます。
会社によって働き方や仕事内容が違う点があると思いますが、参考にあれば幸いです。
この記事でわかること
- 生産技術の仕事内容
- 生産技術がキツイ理由
- 生産技術で働くことで身につくスキル
しばしお付き合いください。m(_ _)m
生産技術がキツイ理由

僕が生産技術として働いていて、キツイと感じることを紹介していきます。
短納期がキツイ
生産技術の仕事が短納期でノルマがキツイのか?
理由は、生産技術の仕事は下流の工程となるためです。
イメージが湧くように、製品の量産化までの流れを↓に簡単にまとめました。
- 製品の企画・・・どんな製品を作るか考える
- 製品の設計・・・実際に製品を設計する
- 試作検証・・・テスト品を作って製品の形や寸法を調整する
- 設備の製作・・・量産するための生産ラインを作る
- 量産開始・・・製品を作り、お客さんへ納入する
1~3は営業や設計が主に担当する上流工程、4~5が生産技術が担当する下流工程になります。
製品をお客さんのところへ納入する時期というのは、1.製品の企画で大体決まります。
納入時期は遅らせることはできません。もしも1~3の工程が遅れた場合、4.設備の製作で帳尻を合わせることになります。
遅れた分の仕事は生産技術が挽回しなければいけなくなるので、生産技術の仕事は短納期となります。

製品の設計が計画に対し遅れたり、お客さんの都合で納入時期が早まったりすることもあるので、ジワジワ追い詰められていきます。
5.量産開始後からは、工場に勤める人の仕事となります。
生産技術ではなく、工場勤務がしてみたいという人はこちらの記事を参考にしてください。
工場の仕事内容を解説しています。
こなすべきノルマがキツイ
ノルマがキツイ理由は、生産技術は仕事が短納期になりがちと説明しましたが、その限られた納期の中で多くの検証データを取って設備を良くする必要があるためです。
設備を良くする理由として「品質」があります。
- お客さんから要求されている製品スペック、機能を満足すること
<一般家庭用のエアコンの品質を例にしてみます。>
品質:暖房、冷房の切り替えができて、自分の好きな温度に設定できること
品質が悪い場合: 暖房、冷房の切り替えができない。温度設定しても実際に出てくる風の温度が変わらない
例にも挙げた通り、買った商品が不良品だった場合、困りますよね。
こういった不良品を作らない・世に出回らないために、製品を量産する設備で対策をする必要があります。
対策をする場合、多くの検証データが必要になるため、テストもそれ同様にこなす数も増えていくためノルマが多くなってしまいます。
実務を行う身としては、やるべきことがひたすら増えていくので、生きた心地がしない時も多々あります。
コストダウンは難しい
新しい設備を作る時や、今ある設備の改善の中で求められるのがコストの低減です。
年初に低減目標値を設定されますが、その数値は到達が困難な目標になることが多いです。
努力が実り、目標が達成できたとしても、次の年にはさらなる低減が求められます。

まさに、イタチごっこです。
コスト低減が困難な理由として、考えられるものは大抵のモノがやりつくされてしまっていることです。
今までやってきたけど、どうにもならない問題や、これ以上は物理的に困難といったものだけが残されている状況の中で取り組まなければいけないのが精神的にもキツイ理由です。
会議での標的となる
新製品の量産までの仕事、設備トラブルが発生した場合などは、会議で報告が求められます。
その場合、製品の量産にするための設備は生産技術が主導で行うため、これは確認したのか?なぜ不具合が出た個所はそんな仕様になっているのか?と原因を追究される場面が多く、会議出席者からの標的となります。(悪者扱いされる場合もある)
設備の仕様とは、製品を作るときにどんな方法で作るのか、寸法は何cmにするのか、加工が終わった製品をどんな方法で検査するのか、といったことを設備の設計者に伝えるものです。
※会社によって、生産技術が設備を設計する場合もあります。
量産に関わる重要な役割を担っていることもあり、プレッシャーを感じる場面も多い為、人によっては体を壊してしまう人もいます。
休日出勤が多い
休日出勤が多い理由は以下です。
- 生産設備が止まる休日に、設備の改造やテストを行うため
- 仕事の遅れを挽回するため
この記事を読んでくださっている方のイメージ通りだと思います。
特に、長期連休は最悪です。工事以外でも、仕事を挽回するために出勤が求められる場合があります。

連休明けに重要な会議など入っている場合、資料作成のために出勤したこともあります。
しかし、担当している設備によっては、平日に工事ができる場合もあるので、休日出勤を避けることができるのは、運の要素もあると思います。
生産トラブル時のプレッシャー
生産設備でトラブルが起きた場合は、トラブルの対応をすることになりますが、その時には1分でも早く直せ、品質への影響はないのか?といったプレッシャーを感じます。
普段は穏やかに話してくれる工場の人も、トラブル時には人が変わったように詰め寄ってきたりします。(実体験)
また、工場では「品質管理」「品質保証」といった部署があり、設備で作った製品をお客さんのところへ出荷しても良いか検査をする人たちがいます。
その人たちからも、この部品のこの寸法は、トラブルが発生する前後で変わってないの?といったようにこと細かく聞かれたりします。(実体験)
だいぶ実体験が多くなりましたが、こちらとしても早く直さなければと思ているところにプレッシャーをかけられるので、追い詰められる時もしばしばあるので、注意が必要です。
人間関係に疲弊する
人間関係で疲弊する理由は板挟まれることが多いからです。
パターンとしては以下です。
- 自分の上司 ↔ 自分 ↔ 他部署
- 他部署 ↔ 自分 ↔ 他部署
- 他部署 ↔ 自分 ↔ 社外のメーカ(工事業者など)
僕の場合ですが、1~3全てに共通することが「日程調整」をするときです。
それぞれの部署で都合があり、担当する人がその日はいないといったことが多く、大した内容ではない場合でも、長期化してしまう場合もあります。
仕事の幅が広く、覚えるまで時間がかかる
仕事の担当領域が広く、覚える・慣れるまで時間がかかります。
本記事の冒頭でも書きましたが、会社によって生産技術の担当する仕事は様々なため、僕が経験した仕事内容をザックリ紹介します。↓
- 担当設備(ライン)の機器調整
- 新製品の量産化に向けた仕事
- 設備の立ち上げ
- 担当設備を他社へ移管
- 資料の作成 (技術的な資料、稟議資料など)
- 報告会
- レイアウトの作成 (設備単体の配置~工場全体)
- 物流ルートの作成
- F-IOT(工場内インフラ)
- 資産の管理
- 帳票類の作成(設備の管理表など)
わかりやすい内容を上げてみました。
さらに細かくしていくとキリがありませんが、我ながら多くの仕事を経験してきていると感じると同時に、良い思い出がないです(笑)

転職したばかりのころは、覚えることが多すぎて本当に苦労しました。
碌にパソコンを使えなかったことも原因でしたが(笑)
経験年数が増えていけば、自然に知識は身に付きますし、仕事も早くなるので、何とか続いています。
生産技術で働いて身についたスキル

ここまで読んでくださった方の中には

生産技術って超ブラックじゃん!
スキルなんて身につかないだろ!
こんなことを思われる方もいると思います。
ここからは僕が生産技術を経験して、身についた技術的なスキルと事務的なスキルに分けて紹介してきます。
ここではスキル=知識、技能、考え方として紹介します。
技術的なスキル
製品開発
製品の開発段階から、生産技術も加わる場合が多いです。
この時、設計設計の考え方を知れると同時に、生産技術としても設備で作りやすい製品構造や不良ができにくくするにはどうしたら良いかといった考え方が身に付きます。
製品の試作
製品開発と内容が被るところもありますが、製品の試作ではトライ&エラーのやり方が身に付きます。
実際に設備で作った製品のダメだった個所を、製品設計へ修正してもらい、良くなるまで繰り返すからです。時には、製品構造を全面的に見直すこともありますが、そのような経験は仕事をしていく上では貴重な経験です。
量産に向けたテスト
設備を作る前にどのような作り方で、どのような条件が必要か検証する必要があります。
製品の試作の設備バージョンといった内容です。
これもトライ&エラーのやり方が身に付きます。
工程設計
製品をどうすれば、「安く・品質が良いものを作れるか」という考え方が身に付きます。
工程設計とはCADの設計ではなく、どんな手順で、どんな方法で製品を作るかを考えることです。
設備の設計・製作
設計ではCADの使い方は勿論、設備の設計方法が身に付きます。
具体的には、タクトや設備の仕様を満足するための機器の選定や形状の考え方、ユニットの剛性、寸法公差の考え方などです。
製作では、使用されている機器の使い方や設定方法、部品加工の条件を設定するやり方が身に付きます。
工具を使って調整が必要な場合は、工具や加工機の使い方も身に付きます。
レイアウトの作成
レイアウトツールの使い方、考えたが身に付きます。
具体的には、設備を操作する人の配置や動きに無駄が出ない、物流の動きに無駄が出ないといった考え方です。
工程管理
工程管理とは生産設備を安定稼働させるための手法です。
生産技術としてメインとなるのは、設備ラインの工程管理表の作成です。
内容としては、管理する項目、インターバル設定、基準の数値設定などです。
インターバル設定では統計法を用いて行う場合もあるので、統計学の知識も身につきます。
工場インフラ
工場インフラの知識が身に付きます。
あまり聞きなれないかもしれませんが、工場インフラとは設備を動かすための電気、エアーの供給やダクトなどの廃棄に関する知識です。
他にも稼働監視システムやトレサビリティ―システムなどを担当する場合は、IT系の知識も身に付きます。
事務的なスキル
PCスキルが上がる
改善のためのデータの取得や分析、資料や帳票類の整備は全てパソコンを使用し行うので、一般的なPCスキルを身につけることができます。
Excel や PowerPoint は使えるようになって損はありません。
時には、報告会で動画を用いて説明したりするときもあるので、動画編集のやり方も覚えることができます。(効果音やBGMなどは入れないですが(笑))
製品原価や利益の考え方
自分が働いている企業での製品原価や利益の考え方を知ることができます。
原価は材料・部品の仕入れ値、関与している人員数など、様々な要素が組み合わさって構成されて言います。
自分が携わっている製品の原価、売価、利益率などを知っておくことは、どれだけ会社に貢献できたかという一つの目安になると思います。
資材調達の考え方
製品を構成する部品・資材がどのような考えで選定されているのか、仕入先とはどのような条件で契約しているのかといった知識が身に付きます。
まとめ:キツイ仕事だが、身につくスキルも多い
生産技術のキツイ理由と身につくスキルを紹介しました。
ハードワークですが、様々な仕事を経験することができます。
会社のほぼ全ての部署とも絡むので、知識も増やすことができます。
そして、もしも辞めたいってなった場合、様々な仕事を経験しているため、転職がしやすいです。
余談ですが、僕の周りでも何人か退職しましたが、生産技術以外で内定を取ってました(笑)
この記事が参考になれば幸いです。
それでは!
コメント